こんにちは。KoKeBeeアンバサダーの麻里です。
マイクロプラスチックのモニタリングなどをされている、東京農工大学の高田秀重先生にお話を伺ったときのことを、シリーズ化してお届けしています。
前回の投稿では、
○地球温暖化と海洋プラスチックごみの問題は密接に結びついている
○プラスチックがマイクロ化するのは海だけじゃない
○リサイクルは最終手段で、プラスチックごみ問題の根本的な解決にはならない
○東南アジアに送ったプラスチックごみが、黒潮にのって日本に戻ってきている
……ということを書きました。
※詳しくはこちらのリンクから
高田先生に会いました①
高田先生に会いました②
環境ホルモンの影響を受ける地球と私たち
先生のお話では、海洋プラスチックごみの問題は、誰でも被害者になりうるし、加害者になりうるということでした。これは、環境ホルモンに関してもいえること。
オーストラリアのアカアシミズナギドリをとある調査機関が調べたところ、プラスチックを多く摂食する鳥の方が、カルシウムが少なく、逆にコレステロールは多いということも分かってきています。カルシウムが少ないために、くちばしが曲がってしまってうまく餌を食べることができなかったり、卵の殻が薄いために孵化する前に外敵に食べられてしまい、個体数が減ってしまうという現状も。
レイチェル・カーソンの「沈黙の春」(高校生のころに、英語で読んだのが懐かしいです)という本にも、DDT(農薬)の使用によりアメリカの国鳥が減ったことが書いてあったなぁ……。
また、ヨーロッパでの研究によると、成人男性の精子が、ここ40年で50%も減少しています。これからの40年でそのまままた半減となると、さらに25%まで減ってしまうのかなぁ?(人間も絶滅の危機!?) 環境ホルモンは精子の数が減少するだけでなく、女性の子宮内膜症や不妊の原因などにも影響するといわれます。それを受けて、ヨーロッパでは予防的にプラスチックの使用を規制する動きもできています。環境問題だけでなく、健康面から予防的に! ってとこがかっこよくないですか?
日本では、G20の後でやっとレジ袋のサービス禁止に向かって動き出していますが、日本で排出されているプラスチックゴミの多くがレジ袋ではなくペットボトルです。ヨーロッパだけでなく、今や世界の国々でペットボトルの販売禁止やプラスチック製品の規制がされてきているにもかかわらず、日本ではペットボトル商品がたくさん出回っているのが現実。
おいおい、と思うけど、でもビニール袋に規制がかかる動きが出ただけでも大きな進歩なんじゃないかな!! と、ポジティブにとらえたいとも思います♪
鳥の胃袋から検出されるマイクロプラスチック

また、高田先生が、赤道を超えてタスマニアまで飛んでいくハシボソミズナギドリを調べたところ、12羽中すべての鳥からマイクロプラスチック(※波にもまれ紫外線で壊れやすくなり、5ミリ以下になった小さなプラスチックのこと)が発見されました。
500グラムのハシボソミズナギドリのお腹から0.6グラムのマイクロプラスチックが見つかりましたが、皆さんはこれを少ないと感じますか? 多いと感じますか? 50キロの人間に換算したら、60グラムのプラスチックが胃袋の中に入っているということなんですよ。
東京湾でとれたカタクチイワシのお腹からも、もれなくマイクロプラスチックが検出されています。
プラスチックは安価で手に入れやすく便利な反面、マイクロ化されたものが摂食されると内蔵に炎症が起きたりと物理的な被害の原因となっています。それだけでなく、有害物質を含む上に海洋の汚染物質をも吸着する力があるのです。
詳しくはまた次回、お話しさせてくださいね。