こんにちは KoKeBee認定プラスチックフリー生活アドバイザーのまきです。
今日は、オーストラリアで起こっているけど、ほとんどの人が知らない「ミツバチとバロアダニについて」のニュースについてお伝えしたいと思います。
バロアダニというのは「ミツバチに寄生するダニの一種」です。たかが、「小さなダニ」と思うかも知れませんが、バロアダニの脅威は恐ろしく、ミツバチを全滅させてしまうこともあります。
少し遡りますが、2022年6月ごろ、ニューサウスウェールズ州(※以下、NSW州と記載)の農相は、ニューカッスル周辺にてミツバチに寄生するバロアダ二を確認したと発表しました。
シドニーから150Kmほど北にあるニューカッスルは貿易の港町として知られていて、なんらかの理由で「船にミツバチのコロニーがあってオーストラリアにたどり着いたのではないか」と考えられています。
オーストラリアは今までバロアダニのいない世界最後の大陸として認められてきたのですが、このニュースによって現在、色々な情報が飛び交っています。
オーストラリアは、これまでは、世界でも唯一といわれるほどの他にはない養蜂環境が整っていたのです。
ちなみにお隣の国であるニュージーランドは同じく島国、そして厳格な検疫検査が行われていたのにもかかわらず2000年代の始めには、バロアダニに感染してしまっていました。なので、オーストラリアに到着するのは時間の問題と言われていたようです。
この小さなダニの何がそんなに危険なのでしょうか?
このバロアダニは、ミツバチの巣箱に寄生すると成虫が弱るだけでなく、幼虫にも寄生するので成虫になれず、やがて巣ごと滅びてしまいます。
このバロアダニは、ミツバチの体にまず引っ付き、その後は幼虫にたどりつきます。幼虫の血を吸い、幼虫の中に卵を産み、孵化するとまた同じことを繰り返していくからです。
バロアダニに抵抗性がないコロニーの場合は、バロアダニに寄生されるとおそらく2〜3年以内に全て死滅してしまうだろうといわれています。
オーストラリアには、このバロアダニの脅威からミツバチを守ろうと、献身的に活動してきた養蜂家たちがいました。そのおかげもあって、これまでは、バロアダニの存在がなかったのです。
彼らの努力により、ミツバチの養蜂に抗生物質を使う必要がなかったですし、それが今までオーストラリアのハチミツの安全性、クオリティを底上げしていました。
それが、今回のバロアダニの存在によって急激に影響を受けつつあります。
影響を受けるのは、ミツバチだけではありません。私たちの暮らしにも影響を与えていくでしょう。
ミツバチはアーモンド、ブルーベリー、アボカド、リンゴなど多くの農作物の受粉にかかせない存在です。
最近、日差しも暖かくなり、もうすぐ春の受粉の季節がやってきます。
養蜂家たちは「ミツバチのレンタル」のためにオーストラリア中に巣箱を移動しはじめます。
もしバロアダニに感染した巣が1つでも農園に入れば、その影響はオーストラリア中に広がるリスクがあります。
農相のサンダース氏は、今回のバロアダニの一件によって、年間7000万ドルの損失がもたらされると述べた上で、このダニがオーストラリア中に蔓延しないよう、なんとしても食い止めなければいけません。
そこで、ニューカッスル周辺地域のすべてのミツバチを殺処分する指示を出しました。
本来なら受粉の時期のレンタルは養蜂家にとって大きな収入源になるので、すべて殺処分とは、非常に厳しい措置です。
慌ててこっそりと州外に巣箱を持ち出そうとしている養蜂家もいるようですが、それはバロアダニの脅威をオーストラリア中に広げることにつながるので大変リスクがあります。
6月後半の時点では
・ニューカッスルから10Km圏内:すべての巣箱の殺処分
・50Km圏内:巣箱を開けない。ハチミツ採取も禁止
・NSW州のその他の地域:巣箱、ミツバチの移動禁止
・在来種のミツバチはバロアダニの影響を受けないので、駆除の対象にならない
・さらに多くのダニが発見されたら、処分地域の拡大もあり得る
8月後半の時点では
- NSW州政府は、バロアダニ対策としてイエローゾーンを廃止
- 何百もの養蜂家が巣箱の移動を申請できるようになった。
- 収穫前の果樹園の受粉にミツバチが必要。
バロアダニの寄生虫の発生から8週間以降は、NSW州は何千もの受粉蜂の巣の移動制限を緩和しましたが、この決定は多くのアーモンド生産者には遅すぎたと言われています。
この変更により、3,700以上の土地にいるミツバチとハチの巣は再び移動できるようになりましたが、オーストラリア・アーモンド協会のティム・ジャクソンCEOは、生産はすでに打撃を受けたと述べています。
「少し遅かったので、生産は少し落ち込むでしょう」とジャクソン氏は述べています。
ジャクソン氏は、このニュースは歓迎すべきもので、NSW西部にある地域、リヴァリーナのアーモンド生産者は十分なミツバチにアクセスできるようになるが、他の州ではまだ国境を越えた移動が許可されていないと述べています。
「ビクトリア州はオーストラリアのアーモンドの約60%を栽培していることを考えると、受粉率は50%にまで低下する可能性がある。
“そして、それは今年の作物の価値を2億ドル減少させると推定されます。
ミツバチに寄生した「小さな存在」が、私たちの生活に大きく影響を与えています。
「ミツバチ」と自分は関係ないと思っている方いるかも知れませんが、私たちが普段頂く食料のほとんどは、ミツバチの受粉によって支えられています。
そのことを、今一度、読者の皆さまにお伝えしておきたいと思います。
ミツバチは私たちの食生活において、大きな役割を果たしています。
世界の食料の9割を締めている100種類以上の作物のうちの実に7割が、ミツバチの受粉を介しているといわれています。
もし、ミツバチが小さなダニの存在によって劇的に減少してしまうと、ミツバチを介して受粉する野菜や果物の量は減り、今度もっと食料品が高くなっていくかもしれませんね。
ミツバチを守ることが、私たちの暮らしも守ることにつながると思います。
今日は少し、暗い話題になってしまいましたが、1人でも多くの人にオーストラリアで今起きていることを知って頂きたく、記事にしました。
今日も、最後まで読んでいただきありがとうございます。